RE:あらかじめ失われた日記

珈琲や紅茶が好きなおっさんです。でも別に銘柄にはこだわりません、日東紅茶とネスレのポーションで十分。

DAGON ダゴン(字幕版)

アマプラに入ってた。インスマウスから場所は移ってスペインの片田舎の沿岸を、株で儲けたカップルと職業不詳のアダルトなカップルが、プレジャーボートで旅している。しばらくすると穏やかな波が荒れ、嵐と荒波が急に襲い始める。そして進行方向がズレたところにあるはずの岩礁座礁してしまう。この辺の演出は邦画の「マタンゴ」を想起させる。

乗っていた女性の一人が大怪我をしてしまい、一カップルが近くに見える田舎の漁師町インボッカまでゴムボートに乗って助けを呼びに行くことに。携帯は何故か使えず、電話があるのがホテルだけという闇のような町。雨が降り続くなか、仕方なく主人公は街に戻りパートナーを探すが、どこにもいない。

ちなみに主人公がミスカトニックの文字が入ったトレーナーを着ているので、少なくとも在学だと思われる。何部に在学とか卒業なのかは知らねども、株で儲けてるんだからソッチ方面だと思うのだが、形而上経済学部とかあるんだろうか。クスッとさせる演出。

で、街を彷徨うと歌声がかすかに響き、それに誘われるように教会がみつかる。ダゴン秘儀教団。おおう。スペインでも綴りは一緒なのかあ。

映画として面白くするためだろうか、凡庸な表現は仕方ないのだけど、主人公は追い詰められて行くが、間一髪どうにか逃げ切る。ちゃんと酔っ払いが一人いるところが原典を踏襲してにっこり。

ダゴンの名を冠して、ストーリーや設定に違いはあっても、これはインスマス覆う影なのだ。換骨奪胎というやつだ。だけどまあ、酔っぱらいの爺さんがスペイン語バイリンガルっていうのは、ちょっとご都合主義かな。その上旅行者の皮剥いで顔を奪うというネタはちょっとホラー風味がクトゥルフからはずれる。だから前半までは確実にラブクラフト風味。

ただま、緩急がね。悪くはないんだけど。

 

あと、物語途中とか、最後一瞬でてくるダゴンがどうみても頭足類なので、クトゥルフじゃないの?って感じ。あとの方でわかる主人公の名字がマーシュ、あとからでてくる漁師の創縁(これも変態済み)の女性が、近親婚を誘ってくるのが小ネタになります。

投げっぱなし感もラヴクラフトに寄せてるな。すごく面白いかというとちょっと首かしげちゃうけど、悪くはない。

いあ!いあ!クトゥルフふたぐん!もこういう言い方もあるんだなーって感じました。

 

星みっつです。