RE:あらかじめ失われた日記

珈琲や紅茶が好きなおっさんです。でも別に銘柄にはこだわりません、日東紅茶とネスレのポーションで十分。

大戦前夜 ジョン・リンゴー

久しぶりに読書感想文。


昔同じようなプロットの小説を同人誌で書いていた人を知っているが、そういう意味ではありふれたシチュエーションの戦争小説であろう。
概略を言うと、恒星間戦争の侵略者に抵抗しきれない異星人連合から参戦要請を受けて、人類がオーバーテクノロジーの供給を受けつつ侵略軍と戦う話である。
侵略者の目的は増大する人口を支えるための食料。異星人連合や人類は食料源と見做されている。そしてその侵略軍は太陽系にもあと五年で侵攻するという。
それまでに地球は統一抵抗軍を構築して侵攻に抵抗する準備をすると共に、異星人連合の各惑星に派兵して侵略者ポスリーン人を排除しなくてはならない。

読んだ感想はというと、谷甲州とか佐藤大輔が書くようなプロットとシチュエーションが満載である。その手が好きな人にはワクワクさせる筆致だと思う。
途中ダレるところもあるが、訓練シーンなどは面白い。ハインラインの「宇宙の戦士」の影響もあるのだろう。ニーブン&パーネルの「降伏の儀式」を読んだあとなので比べつつ面白く読めた。

ただ、登場する兵器などの描写が細かくなく、想像しにくいために面白みを失うところも目立つ。いわゆるパワードスーツが重要なアイテムとなっているので、イメージを喚起するためにもイラスト化したほうが良かったのではないだろうか。
しかも現用兵器も登場させている(背景年代が21世紀初頭のため)ので、そうした場面イラストは欲しかったというのが感想である。
生頼範義とか開田裕治に描かせたらきっとよかったのになあ。

上下巻なので読みごたえはあるがけっこう、さっさと読めた。
続刊の地球戦線が楽しみである。


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