RE:あらかじめ失われた日記

珈琲や紅茶が好きなおっさんです。でも別に銘柄にはこだわりません、日東紅茶とネスレのポーションで十分。

マックチャット

新宿でのどが乾き、高層ビル街の下でマクドナルドに入ることにした。

100円のコーヒーを頼み、席を探しているとおかしな機械の横で、所在なげに立っている女性店員がいた。
大きな画面に、楽しげなイラストが画面に表示された機械を見るとはなしに眺めていると、その女性店員は機械に触れるよう勧めてきた。

マックチャットと言うその機械は、なんでもマックの新しいサービスで、ビデオレターを残したり、他の店舗とビデオチャットができるのだと言う。
ビデオレター・・・またなんと無駄な事を始めたものだ。そう思いながら聞いていると、彼女の説明は熱を帯びてきた。
掲示板は誰でも見られるわけではなく、パスワード設定を知ったものでないとだめだと言う。そんな伝言板は発想も新しくないが、今回の売りはチャットなんです、と大きくうなずいた。
「パスワードさえ知っていれば他の店舗にいる方とも、顔を見ながらお話できるんです!」
頬を桜色に染めながら話す説明を一通り聞きいてから、改めて彼女に聞いてみた。
「でもね、それって他の店舗に知った人がいないと、話す相手がいないってことでしょ」
「まあ・・・そうですね」
困ったように彼女は首を傾げた。
「・・・使い道が見えないものをデモンストレーションするののもたいへんだね」
私がそう言うと、彼女は困ったように眉根を寄せた。

コーヒーを飲み終わり、帰ろうと立ち上がった時に、もう一度あの機械の方を見てみた。
あの店員はまだ、その場に立ち続けていた。