RE:あらかじめ失われた日記

珈琲や紅茶が好きなおっさんです。でも別に銘柄にはこだわりません、日東紅茶とネスレのポーションで十分。

りょう-ち-の-けい

凌遅と言う刑罰がある。
中国大陸で南北朝の昔からよく行われて、その残酷さでは特筆される刑罰だ。
日本でもちょっと前の時代劇では、似たようなことを悪役がよく言っていたのをご記憶だろうか。「一寸刻み、五分刻みにしてやる!」というアレである。
内容は簡単だ。ともかく執拗に、細かく肉を削ぎとってゆくだけ。
その刑は短刀や小刀で与えられる一刀ごとの傷を小さくして、罪人の苦痛をできる限り長引かせるよう執行される。
そしておおかた削ぎ終わると、一説には千以上もの傷で肉を削ぎ終わると、体の各部で文字通り罪人は解体される。凌遅は別名『剮(か)』つまり、切り殺すことを言うのだ。
しかしその時点まで罪人は生きているように、調整しながら行われると言う。
実に清代末期まで刑罰として採用されていたというから、百年ちょっと前にはこの刑罰が執行されていたのだ。
恐ろしい人間の醜さ、残酷さを考えざるを得ない刑罰だ。

凌遅とはもともと、なだらかな丘や山裾を指す言葉だったらしい。
緩慢であるゆえに残酷……実に怖いものだと思う。

いわゆるリストカッターは一度、これを自分で味わってみたらどうだろうか。
そうしたら自分の行いの意味を知ることができるかもしれない。
他人にとってどれくらい無意味であるかと言うことも。