RE:あらかじめ失われた日記

珈琲や紅茶が好きなおっさんです。でも別に銘柄にはこだわりません、日東紅茶とネスレのポーションで十分。

サイレントランニング

サイレントランニングがDVDで出ていたのを購入。久しぶりに見る。
今頃になっても入手できるのは、非常に喜ばしい。
最後に見たのはいつだろう?
テレビ東京がまだ局名を改める前じゃなかったろうか。
そんなことはないか。
とにかく、記憶も定かでない頃の深夜映画で見たのを覚えている。
そのくせ、映画として筋とか、シーンの記憶は薄いのに、ドローンのことは強固に覚えていた。

物語背景の情報が作品中にないが、画面では植物は数隻の大型宇宙船のドームで繁殖している。常識なら大成功の計画を簡単に「宇宙船ごと爆破せよ」という命令は不条理だから主人公の「最後の植物を絶滅させるわけにはいかない」という怒りは、誰が見ても正しい。
そうした事を描くことで理不尽な社会や状況の無常や不条理を描いたのかな。
映画のタイトルからして環境破壊とかその辺りのネタを使ったのだろうか。
BGMに使われたフォークソングは非常に美しい。

今見返してみると、主人公が非常に印象の薄い存在だと言うことに気づく。
一端には行動やその信念は正しいのに衝動的だから、行動はあまりにエキセントリックに過ぎる。その上宇宙船を奪取するため同僚たちを殺すなんて、なんだか環境テロリストの抗議行動みたいだ。
そういう「どうしようもない」主人公の発作的な行動は、どちらかというと見ている私にはあまり興味がわかない。そんな主人公が動けば動くほど、脇役のドローンたちがクローズアップされてくるのだ。
命令を受け、それを実行するドローンたちの姿は愛らしさやけなげさを感じる。主人公が途中から人間に対するような思い入れを持ち始めるのもむべなるかな。
私がドローンたちを見て思うのは、今も帰還の途にある探査機はやぶさに感じるような気持ち、と言ったら近い気がする。
下手にヒューマノイドでない特異な形状をしているところもいい。
これは着ぐるみなので中には俳優が入っているのだが、このような俳優たちについてはまた場を改めて書きたい。

物語後半で主人公が命名したヒューイ、デューイ、ルーイはドナルドダックの甥っ子の名前だ。彼らのふとした仕草は、主人公よりいいな、と思わせる。懐かしさもあるが、見た時の気持ちが呼び起こされる、そんな映画だった。