RE:あらかじめ失われた日記

珈琲や紅茶が好きなおっさんです。でも別に銘柄にはこだわりません、日東紅茶とネスレのポーションで十分。

ブラック・ラグーン第4巻

待っていた、というと少し気恥ずかしいが、いつ出るのかと結構気を揉ませてくれた一冊。
 
 
この巻ではロシアン・マフィア「ホテル・モスクワ」が、ヤクザの抗争に相乗りして日本進出を図るという話が大半を占める。
前巻までと変わりなく、脇役がバンバン死ぬし、弾丸は過剰なくらいばら撒かれているが主人公にはかすめることもない。真にもって正統派ハリウッドアクションだ。
スタイリッシュな絵柄は以前と同様、ちょっとしたギャグシーンも変わらないセンスを感じさせる。
が、今回は以前に増してシリアスの度合いが増えているように思う。
それは前巻の続きである、イスラム過激派のテロ計画文書をフィリピン米軍基地まで運ぶ話の、ラストが重いせいなのだろう。

前巻からのエピソードで、赤軍からイスラム過激派のテロリストになった竹中は、奪われた計画文書の追撃をしていた信義を共にするはずの同僚イブラハを撃ってまで、それを断念する。
捕らえられ尋問されたロックは竹中に同じ日本を出てきた二人でも違う、あんたは追い詰められて出たのじゃないかと問う。
挫折の記憶を、世界同時革命という幻想を嘘で終わらせないために、今の自分がある。お前にはその覚悟があってここにいるのかとロックに答えた竹中も、実はそれまでの覚悟を、イブラハを撃つことで試されるのだ。
イスラエルベイルート攻撃で息子を失ったイブラハとのやり取りのなか、何のために戦っているのか、譲れないもののためにではないかと問われ、「失った息子は帰ってこないんだ。」と諭しながら、竹中も譲れない道のためについにイブラハを撃つ。
最後のシーンの、「俺の仕事は、パブリックエネミー(公共の敵)だ」という言葉が重い。

正直、この人の作劇はちょっと鼻につくところもあるのだが、それが話をただ読み流させない部分でもあるのだろう。
この先が楽しみなシリーズだが、もう少しペースが速いといいなあ。