以前に書いていた日記を引っ張り出す。
2年半前というと、どんな風だったんだろう。まあ、十年一日、という気がしないでもない。
エアマスターもアニメ化されたりして、もうだいぶ昔のことのようだ。
ちなみにこの日記は、そのキャラクターに思い入れたものなので、ちょっと恥ずかしい。
しかもなんか、夢枕獏っぽいフレーズがあったりして。いやあ、恥ずかしい。
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今まで読んできたマンガの中で、様々に愛をささげその愛に殉じたキャラクタたちがいた。
けれどこれほど心に迫ったキャラクターがいただろうか。
坂本ジュリエッタ。
週間ヤングアニマル連載の格闘マンガ「エアマスター」の登場人物の一人。
面白いマンガではあった。好きなマンガではあった。
しかし、思い入れる所のない単なるエンターテインメントであるはずだった。
勝ったなら愛してあげるよ、と想い人に言われて彼は立った。
愛してもらうためなら殺してでも勝つ。そう彼は決意したのだ。
けれど、彼は――負けた。
そしてあなたではわたしに勝てないと宣告されて――。
読者は笑うだろう。地を割るような、胸を裂くような絶望に震えながら涙と鼻水にまみれて、身も世もなく泣く男を笑うだろう。
それでもなお、恋人にしがみつくようにして言う言葉に笑うだろう。
「がんばりますから…一生懸命戦いますから――見捨てないでください。」
彼の無心の抱擁に、その涙にキスで応えた彼女に私は泣いた。
坂本ジュリエッタ、お前は負けたけれど。
よかったな。心から良かったと思うよ。