この彼女、幼い顔立ちながらとても頑固で、付き合うことになったんだから、といろいろな場所へ行きたいとか言い出す。いや、それ見られたら困るから、といって渋っているとじゃあどうするんですか、とか言う。
仕方がないので、取り敢えず横浜のみなとみらいに行くことにして、適当なところでウィンドウショッピングしたり、お茶を濁していたら、飲みに行きたいとか言い出した。
えー。いやまあいいけどさ…
とかなんとか言いながら、安めの飲み屋さんで飲むことにした。どうせお代は俺が出すのだ。安くても構うまい。
飲んでると、彼女から万里さんは楽しそうじゃないですね、とか言われて、この状況で楽しいとはとても言えないし、何を言ってほしいのかと考え込み、結局鼻面を引きずり回されている感じがして、まあね、と答えた。そして適当に飲んだところで彼女を駅まで送ることにした。
駅までの道すがら、むりやり腕を組まされ、なんでそんなに淡白なんです?とか言われて、いや別に俺手を出す気ないし…淡白って言われても手を出すわけにもいかないじゃんよ…とか酔っ払った頭で考えた。こんなにグイグイくる相手は初めてだったのだ。
そのまま、ちょっと暗い道を歩いていると、腕を彼女に引っ張られ、そのとたんキスをしてきた。
待て待て、それはシャレにならんぞ…という意識と、してきたものを押し返すのは惜しい、という汚れた意識のはざまで、つい彼女を抱きしめてしまった。
あーあ、やっちゃった…そんな気分で取り敢えず離れると、彼女がしちゃいましたね、とか言ってきた。
あー、とかまあそうだね、と答えながら俺のせいじゃない、と言おうとして、実は求めていたのかもしれない、と考えながら俺は彼女を伴って駅へ歩き出した。