寝ることも出来ず。
ここで、こうして起きていても、それはただ目を開けているだけ。
頭の中ではずっと音楽が流れ、あなたの顔だけが浮かぶ。
「地面に 穴掘って
別に何をするでもなく 日々これ好日
じゃれまわる 僕のそんな犬」
ケラ。今はケラリーノ・サンドロヴィッチと名乗る歌手の歌。
インディーズで出したレコードの、のどかな曲調に他愛もない黒目がちな犬の表情を思わせる歌詞。
昔からこの歌詞が好きだったあなた。
会いたかったよ。そう言ってくれたのはいつのことだろう。
こうして待っていると微笑んで頭をなでてくれたのは、いつのことだったか。
そしてあなたは此処を通り過ぎるだけとなった。
私がここで待っているのに、あなたの視線は私を捉えない。
今もこうして地面に伏せて、あなたを待っているのに。