RE:あらかじめ失われた日記

珈琲や紅茶が好きなおっさんです。でも別に銘柄にはこだわりません、日東紅茶とネスレのポーションで十分。

創作

今書いている小説は、流行病で打撃を受けている社会を舞台にしている。 テーマは個人的なので、舞台背景しかこの話題には関係ない。 ただ、ずっと考えていたので何でも物語に関連付けてしまう癖が出ているだけだ。 このところの新型インフルエンザ流行の話題…

風邪をひく

特に言う事も無い風邪をひく。 後頭部が重く関節が痛み、鼻水が垂れて涙が出る。 鼻のかみすぎで鼻の下がガサガサだ。 熱は高くないけれど布団に入っていると、手足が熱くて気分が悪くなる。 かといってめくっていると寒い。なので、足を片方出したりいれた…

夏の匂い

彼女が終電に間に合うよう駅に送ると、コンビニでビールを一缶買う。部屋に帰り着いたら、ざっと流す程度にシャワーを浴びる。それがいつものパターン。今日も踏襲して、熱いのとつめたいのを交互に浴びていく。風呂からあがると、体を拭きながら冷えた35…

つらい

つらいと思うことについて。こう書いてから、つらいことなんてない事に気づいた。私がつらいと思うことなんて、高が知れている。足の小指をぶつけただとか、車にクラクション鳴らされただとか。数え上げるのも馬鹿らしくなるような、どうと言う事のないもの…

表裏

おまえの気持ちはおまえだけのものだだから大事にするがいいしかし言い換えれば、それはおまえの気持ちは、お前の心は他者には伝わらないのだ、と言っているに等しいこんな俺の気持ちなんか誰もわかるもんか、とTVで凶悪犯役の役者が叫ぶお前の気持ちなんて…

足跡

足跡を辿ると、その背中が見える。見慣れた顔は見えず、その背中だけ。手を伸ばしても、届かなくて。会いたかったよ。会いたかったよ。そう、つぶやく。心に空いた虚空に向けて、言葉をかけてほしいのに。願っても、その人は立ち去ってしまう。何かを強要す…

残響音

現実には声をあげられないなら。頭の中で、できる限りの絶叫をするといい。頭蓋中に響き渡る声を想像するのは難しい。それを出す事を想像するのは、なおさらだ。だから最初は小さく息を吐きながら、意識だけで叫ぶ事を学ぶといい。始めたばかりでは想像通り…

見つめる

壁を見つめる。白い壁に視線を据えて見つめるけれど、そこには何も見えない。舞い散る埃が差し込む陽光に透かして見える。その動きはランダムで。目を閉じてその闇を見つめる。虚空を見つめる。部屋の電気を消して真っ暗にする。見えていたはずの光景を見つ…

虫けら

きっとおれって、虫じゃないか? グレゴール・ザムザだとは言わないけれど。そんな格好いいものか。そうそう、そう、虫以下だよ。いつもむなしく思いながらマッチを摺る、あの明るく静かな喫煙室で細巻きをくゆらしているとわかるよ。音をさえぎる分厚いガラ…

強張り

たかだか2ミリほどの深さでは、大きな血管まで届く事がないので、人間の体にそれほどのダメージはない。特に鋭い物で作った傷口では垂れるほど血があふれれば、止血作用が早く現れるから、逆に血が流れにくい。いつもそれではつまらないので、時にはえぐり…

歯噛み

切歯扼腕と言う言葉はただ残念だという表現の言葉じゃない。それは歯噛みするほど悔しい、ということだ。自分の腕を赤あざができるほど握り締め、爪を食い込ませる。奥歯をきしませ、食いしばっていると頭の中が真っ白になっていく。自分が憎しみで埋まって…

ほら、懲りただろう

こぶしが痛いのじゃないか。だいじょうぶか?え、硬い物を思い切り殴るとごおん、と音がして痛みは後からやってくる?それは気のせいじゃないか。くだらないだろ?そんな意味のない事、止めようよ。馬鹿馬鹿しい事を考えるのもやめよう。こんなに暗い夜道で…

さびしいなんて、言う必要はない

そばにいてくれるのならば。コーヒーショップで、駅の雑踏で、一人でいる事は寂しさを覚えない。誰もが笑いさざめく場所に一人でいても、寂しくはない。私はここにいる。誰もそれを知らない。それは快感ですらある。私が寂しいのは───ひとりでいることだ。私…

何のために

さっきまでぴくりともしなかった腹が、何の拍子か鳴った。食べたいという欲求のないまま、空腹を感じてものを口に押し込みたくなるのだ。食欲はほぼない。けれど唾液は出てくるし、つらいようなだるいような、おかしな感覚は支配を始める。もちろん味を感じ…

いらない子

いらない子だなんて、子供に言う親は自らもそういわれて育ったのだろう。子育てとは繰り返されるものだから。子供にそう言う事が、どういう結果を生むのかを自ら知っているくせに。それを止めることができない親。DVと同じだ。DV自体がそれなのだ。いらない…

腕の傷が痛む日

いつからか増える事のなくなった、腕の傷が今日痛んだ。鬱積してどこかに放り出せもしないものや、誰にも伝えられない思いがつけた傷だ。あの時、傷つける事で耐えた。カッターナイフが皮膚を走る時、いつも痛みは感じなかった。陶酔と冷静が入り混じった気…

誤解を恐れずに言う

そんな事をすれば、たいがい真意は伝わらない。それどころか、「理解した」と言ったあげくに嫌われてしまったりする。誤解は恐れた方が賢明だ。

もう死んでしまおうと思った。

あまりにも陳腐で、くだらない物言い。一瞥して「そりゃあ、どういう了見だよ?」と読んだ人間の独白が想像できる。それはポーズであり、拗ねながら甘えているのであり、どう見ても崇高な精神性や悲しみなぞ汲み取れはしない。そんなことを口にするのなら死…

失いたくないもの

どこかで予言者気取りの男が彗星が落ちると卦を立てた。男は警告し、その日世界はすべて焼けると言い放つ。人々は嘲笑して男を指さし「世界は昨日と同じく続く」と囃した。男は大切な世界を失いたくなかったのだ。誰もここからいなくなって欲しくなかったの…

世界なんかニセモノでかまわない

科学を検証するとき、大仮説というものが提唱される。たとえば、それはビッグバン以前の宇宙の振る舞いを研究する超弦理論であり、生命誕生を起こしたのは知的設計者という説もそうだ。もう一つ、世界の成り立ちとしてこんな仮説も提出される。この世界はか…

笑え

さあ、心の底から。わたしが写真を撮ってあげよう。お前の笑顔を、残してあげよう。みんながその笑顔を見られるようにしてあげる。今の自分がどうなってしまったのか、わかっていないお前のために。誰もがその笑顔を、見上げることが出来るようにしてあげる…

寝ることも出来ず。ここで、こうして起きていても、それはただ目を開けているだけ。頭の中ではずっと音楽が流れ、あなたの顔だけが浮かぶ。「地面に 穴掘って別に何をするでもなく 日々これ好日じゃれまわる 僕のそんな犬」ケラ。今はケラリーノ・サンドロヴ…

栢の木

検索していて見つけた、とあるバス路線の時刻表。そこにはいくつもマスが切ってあるけれど、使っているのはほんの端っこだけ。一時間に一本のバス。平日の朝六時だけ、2本のバスが通過する。平日は十八時、土日でも二十時には終バスが行ってしまう。子産坂…

せめて哀れと思し召せ

さっきまでうららかと言っていい陽気だったのに、春の幻想は少し風が吹いた程度でかき消えた。目の前の太い幹に大きく枝を広げ、周囲の木々を統べるような趣きの桜は、夕闇の中今が盛りの花を風になぶらせて、際限もなく散らしている。と、その花びらを巻き…

写真

酒を呷る。見るとはなしに彼女の静かな表情を見て、息を落とす。また酒を飲む。のどを焼いて強い酒が降っていく。それを感じながら、彼女を見る。うめき声がもれるのを押し殺して、グラスをテーブルに押しやる。気を紛らわせようと本を読む。しばらく没頭し…

喪失感 または声をあげて泣く

悲しい時は声を潜めて泣いていた。泣く、と言う事は昔から感情を肯定するため、自らを慰めるため、つまりカタルシスを得るための行為、と定義付けられているように思う。そんな知識のせいで、私の中で声をあげて泣くと言うのは、人目を引いたりナルシシズム…

恋ごころ

フレーズを思いついたのでメモ。下書きに入れっぱなしで忘れていた。「振り向かれないと知っていても、恋心は止まらない。」

フレーズ

「きみにこの声が届くかな」「ぼくはきみだけを愛してた」「ぼくは此処からいなくなってしまうけど」「別れは言わない、いつまでも愛しているから」まるでハリウッド映画のようなフレーズ。

嘆き

自分がどんな人間かを知るまでにひどく時間がかかってしまった。何度も人からこうであれば、ああでいたらよかったのにね、と言ってもらったのに自分ではそれを認めえずにいた。認めたとしても、それができずにいたということは。今更思う。自分が悔しい。ど…

詩を読む男

夕方、会社帰りの少しざわめいた車内で。ようやく座れた七人掛けには、余裕を持って座ろうとする人のせいか真ん中にちょっとした隙間があった。ちょうど私が座った横だ。立ち止まる人たちは残念げに眺めやるが、誰も座る気になれないのか皆、別の車両へ移っ…