RE:あらかじめ失われた日記

珈琲や紅茶が好きなおっさんです。でも別に銘柄にはこだわりません、日東紅茶とネスレのポーションで十分。

記憶してくれる人々。

知り合いや記憶に残る人の名前で検索をかけて、ネットをぐるぐる巡る事がよくある。
別にたいした意味はない、無意識的なものだ。
そのついでに、弟の名で検索をしてみた。
Googleで一番最初に出て来たのは、オークションで表示される弟の追悼本だった。


弟はペンネームをKEN川崎という。
いわゆる美少女漫画家でアダルトな、言ってしまえばエロマンガを描いていた。
メジャーデビューは果たせなかったが、単行本を出す事はできた。
私が編集の仕事をしている時に、編集プロダクションンへ持ち込む事ができたのだった。


創作のためにアイディア出しを手伝ったりもしたが、肉親の視点から離れて一マンガ読みとして見ても
けっこう人目を引くタイプの作家だった。
比較的有名な漫画家と親交もあり、名の通った出版社からいくつかの引き合いもあって連載も企画されていたのを記憶している。
本当にこれから、と言うところで亡くなったのが残念だった。


検索結果を追ううちに、亡くなった後もいくつかポツリポツリと人々の記憶に残っている記述が見つかった。
同業の漫画家さんであったり2ちゃんねるの雑多なスレッドの一つであったりはしたが、
もう20年を経ようというのに、覚えている人がまだいてくれるのだと見るたびに思った。
彼を覚えていてくれる人がいる。
生涯に2冊しか単行本を出せなかった彼を。


イラストレーションサイトを眺めていると、時々彼が今ここにいたらどのような絵を描いていただろうかと思う。
とてつもなく残念で、懐かしく彼の事を思い出す。