つらつら考えて見るに、私の恋愛の転回点は少なくとも三度あったと思う。
まあ2010年あたりに一連の状況は終わり、私はそれから自分の人生を考え直して見る必要に曝されているのだが。(10年かけて考え直すのもおろかしいといえばそれまで、である。)
彼女との恋愛事情を考えてみれば、出会い~私の離婚~熱愛~浮気と別れの危機~死を見つめた時期~その後のなあなあした関係~更に浮気~終幕、といったところだろうか。
まあ、彼女は既婚者なので、私相手に熱愛だろうがなんだろうが、浮気でしかなかったのだが。
一番最初の危機は、彼女のために私が離婚した頃だと思う。そしてこれだけは明言しておきたい。私も既婚者であったが、彼女のために離婚したことは事実である。
大上段に構えるつもりも、それをしてなんだかんだと言うつもりもない。だがある時、彼女が障碍を持って生まれ育ったわが子に対して、差別的な事を言った事を軽く扱うべきではなかった。別れたくない一心で我慢するべきではなかった。
第二に、彼女が私と距離を取ろうとした時にしがみつくべきではなかったと思う。彼女を失うのがこわくて、捨てられるのが恐ろしいあげく、死を見つめた時期に、別れるべきだったのだ。もっと言えば、自死を選ぶべきだったのだ。
第三に、彼女の愛を失ってエンディング、ということになる。いや、愛はもっと前に失われていたのだが。
どう考えても人生の落伍者でしかない。
よくまあ、自分の人生を軽く考えていたか、まったく人が聞いたら馬鹿じゃなかろうかと思うわれるような経緯である。
その間にも、彼女のために20年来の友人たちと決別し、妻と子を捨て、あげく彼女に捨てられて幕引きとなるなど、コメディだって描かないようなチープさ加減である。
転回点で振り返ればよかった、いや、単なる火遊びで終わらせればよかったのだ。だがしかし、彼女とのセックスがあれほど魅力的でなければ…いくらでも言葉は湧くが、今はただ虚しい。
そして転回点など本当はなかったのだと、思い至らない己を悔やむ。
いつでも振り返り、歩み去ることは出来たはずなのだ。
己の愚行を悔やむ。