RE:あらかじめ失われた日記

珈琲や紅茶が好きなおっさんです。でも別に銘柄にはこだわりません、日東紅茶とネスレのポーションで十分。

つまらない話

今日は月イチの受診の日だったので、病院へやってきた。待合室も人が少なく、静かで、コロナ禍ってまだ続いている事を実感した。

形成外科の主治医に日常を報告し、今緊急の心配は感じていないことを話すと、主治医(女医さんである)は笑って、それはいい傾向ですと言ってくれた。ちょっと調子に乗って定額給付金が入ったらサバゲに行きたいんです、とそんなことまで話した。

すると、主治医は眉を曇らせて尋ねてきた。

「その…サバイバルゲームって山とか林とかでするんですか?」

「はい、いわゆる戦争ごっこなので、そういうところもあります」

「…それは、いけませんね」

「いけないですか」

「あなた、病人なのですよ?健康な人と同じことが出来ますか?」

「同じことって…」

「林の中を走れますか?他の人と同じ運動が出来ますか?もっと言うなら、あなたが倒れた時に介抱してくれる人がいますか?坂を転げ落ちずに走れますか」

「…できません」

「あなたは主治医から見れば首から下は病人なのです。いくら元気になったとは言え、後遺症を抱えた人なんです。あなた自身不便なことは日常でたくさんあるでしょう?タクシーに乗らなきゃ帰れないって、この間言ってましたよね?」

「はい」

「そんな人がする遊びではないと思います、そのサバゲって。」

懇々と説得されている状況が苦しくて、そういうのは止めます、と答えるのが精一杯だった。

そうだったのだ。満足に買い物にも行けず、出かければどうしても辛くてタクシーに乗る。

そんな身体の私が元気になったような気がして、定額給付金で買える電動ガンとかサバゲー用品や服をネットで検索したり、人に話したりすることがうれしくて、舞い上がっていたのだ。

いくら体を鍛えたくても、その行動すら出来ない。私はもう元気に走るどころか、歩くのさえ難しい身体だということを忘れていた。いや、故意に無視し続けたのだ。目を逸らしていたのだ。

 

人の味わえる果実を、私は口にできない。それは寂しく、物悲しいものだ。