RE:あらかじめ失われた日記

珈琲や紅茶が好きなおっさんです。でも別に銘柄にはこだわりません、日東紅茶とネスレのポーションで十分。

WAR OF THE WORLDS-宇宙戦争-

映画館に観に行くほどじゃないが、ロードショウの時から気になっていたトム・クルーズ主演の「WAR OF THE WORLDS」を観た。
そして呆れた。
ここで終わりにしたいな、今回。

内容は…ヒューマニズムアメリカーナと現代家族像、そしてその絆を縦軸にH・G・ウェルズの原作を忠実に再現している。
ここ重要。
忠実すぎる。何でいまさらこんな話にしなきゃいけないのだろう。
もちろんトライポッドの無慈悲なくらいの無敵っぷりや、異星人の不気味さを描写する細かさはいい。日本のアニメーションなどから影響されたと思われる戦闘シーンなども、十分に評価できる。
だいぶ前に到達してたのに侵略開始するのが遅いとか、人を捕らえて加工する手間かけるくせに、全然能率的な手段をとらない(トライポッドで追い掛け回す)事は無視しよう。人や家を粉砕する怪光線が衣服を粉砕しないとか、おかしい部分もこの際考えない。
だからと言って、1958年のジョージ・パル版と同じ筋立て、同じオチって事はないじゃないか。

念のためにジョージ・パル版見直してみたがほとんど変わらない。
もちろん細々した違いはあるけれど、人間を熱戦で消してしまうくだり、隠れた家で入り込んできた触手のようなセンサーから逃げたりするところ、どれもおんなじだ。
ジョージ・パル版リメイクしてどうする?
しかもウェルズの原作を損なわないようにしていると言えば聞こえはいいが、今どきあのオチはないだろう。
それに原作のオチは大航海時代に新大陸に行ったら病気にかかったよ、。という風刺だ。あの当時だから、いや1950年代でも十分に斬新だったけれど、それを今やったらいけないだろう。
いくらなんでも大気の成分調査ぐらいするよ。

この映画で重要なのは、原作への忠実さやジョージ・パル版との差異ではなく、ヒューマニズムと家族の絆を描くことであったと断言できる。

だがそれは宇宙戦争でなくともよかったのだ。これなら、ジョン・ウィンダムの「海竜目覚める」を映画化したほうがなんぼかましだ。