RE:あらかじめ失われた日記

珈琲や紅茶が好きなおっさんです。でも別に銘柄にはこだわりません、日東紅茶とネスレのポーションで十分。

ファファード&グレイマウザー


amazon:ファファード&グレイマウザー


比較的時代がかったSFやファンタシーが好きだ。書かれた年代が古ければ古いほど味わい深く思う。

一九六〇年代なんて、自分の生まれた頃に書かれた話などもう古臭いと思うのだけど、フリッツ・ライバーの「ファファード&グレイマウザー」シリーズは今までかなり執着してきた作品に入る。
と、いうのもこの作品、刊行された当初は五巻を予定していたのに八二年に中途で止まったまま、いつ出るものやらまったく見えず、読めなかった作品なのだ。
その頃の私はSFと言えば特撮で、ようやくSFマガジンなどを読み出した時期だった。同じ頃にコナンに代表されるファンタシーにも足を踏み入れ、いろいろな作品を濫読していた。
今となっては何を読んだものやら、数えあげていかないとよく思い出せない。
けれどあの当時誰かのコラム、たとえば鏡明とか、そうした人たちの文章でライバーが紹介された時、読みたいなあと憧れる気持ちはいつもあったように思う。
その「ファファード&グレイマウザー」、この夏前にようやく最終巻「ランクマーの二剣士」が発売され、初めて通して読むことができた。

フリッツ・ライバーと言えば「妻と言う名の魔女たち」「闇の聖母」が有名で、SFにせよファンタシーにせよ、ガジェットをアイディアに融合させる手腕がすばらしい。いつもはSF畑の作家と認識しているけれど、本来はファンタシー、幻想小説家なのだ。
この物語はキャラクターに尽きると思う。主人公は冒険心と男気は売るほどあるがその実スケベで喧嘩っ早くて、そして何より人間味に溢れている。ある時は用心棒、宝物を探す冒険者、そして都市の暗闇で疾駆する二人はハードボイルドものに通じるところがある。アイディアやその世界観にはSFも盛り込んでいるからそうした意味でも楽しめる。

シリーズは最終巻以外中短編で構成されている。今回通して読んでみて、読みたかった長編より短編の方が面白いと感じたのはどういうわけか。
長い話はちょっとくどい。確かにくどいのだけれど、その真骨頂は、やはり長編で味わうべきまのかなあ、とも思われる。

実はライバーはラブクラフトサークルに係わる作家でもある。その意味でも、私には実に馴染み深い作家だ。