RE:あらかじめ失われた日記

珈琲や紅茶が好きなおっさんです。でも別に銘柄にはこだわりません、日東紅茶とネスレのポーションで十分。

ひぐらしのなく頃に 〜You〜

次こそは間違えないよ。こんな事になってしまってごめんなさい。
今度こそ絶対に。絶対に間違えないから。
歌声は哀しく響く。
次はもうないとわかっているのに。チャンスは失われたとわかっているのに。
狂気に蝕まれてしまった涙が、すべてをやり直したいと流されていく。

近頃同人から発展してメディアミックスにまでなるものがある。
ひぐらしのなく頃に」も、元々同人ゲームだったものだ。
このゲームはいわゆるテキストアドベンチャーから展開されるもので、マルチエンディング制をとっている。
いや、こんな事は書く必要がない。あまりにも有名なゲームであるし、知りたい方がいれば、すぐに調べられるたぐいのことだ。
私が今書きたい事はこのゲームで、主人公の一人園崎魅音(そのざきみおん)の心理描写と、ゲームのエンディングに声優が歌う歌のことだ。

園崎魅音はそのシナリオ上、因習と狂気に取り憑かれたあげく、いとしい人を失う事で連続殺人犯になってしまう。
それは周囲への復讐という形で終わるのだが、それが如何に虚しいことであり自分の行為がすべて意味がないという事は物語終盤で描かれる内容で理解される。
その描き方はどちらかと言えばツメが甘く、もっと方法もあるだろうと思わせるのだけれど。

歌を聴きながら思う。
止むにやまれぬ、と言えばいいのか。
主人公の悲しみがよく分かる。
特に歌とエンディングの告解ともとれる文章が、いっそう悲しい。
なぜ間違えてしまったのだろう。どうしてこんな事になってしまったのだろう。
そうつぶやく言葉が、哀れを誘う。
「今日までの事がすべて夢であるといいのになって、何度も思った。
だから書いてみた。書いて夢になると信じて。」

生まれきてごめんなさい。
そう言うしかできない、それでも罪は消えない。
時を戻して、あの時間をやり直せるなら。
罪を消し去る事ができるなら。
けれど、もうそこに戻る事はできない。

〜You〜を両手を絞るように握り締めながら聞いていると、後から後から泣けてくる。