私はアクションが好きだ。
ここで言うアクションとはいわゆる映画的なものである。例をあげて言えばマトリックスだのタランティーノだのといった、まあ見る人が見ればしらけた表情にそっぽを向き、片眉上げて肩を竦められそうなたぐいのものだ。
私にとってガンアクション物は非常に興奮するし、格闘アクションもいいものだ。この間見た「スワット」「リベリオン」も良かったし、タランティーノは大好きだ。まあこういった趣味はあまりよろしくはないのだけれど。
まあそれはさておき。「ブラック・ラグーン」広江礼威だ。
お話もガンアクションも非常に良い。作画は流麗でありキャラクターも魅力的なハリウッド的作劇のマンガだ。ガンは撃つためにあり、お話は炸裂するためにあり、脇役は死ぬためにある。
ハードでシーリアス、キャラクターは苦悩するし背景の深みも信条のぶつかり合いもある。エンターテインメイントとしては良く出来たコミックだ。
内容の紹介なんて野暮はしないので、興味の湧かれた方は読んで見ると良い。おっと、それは野暮ではない?
いやいや、言葉で説明してしまえばまるっきり良くあるハリウッド映画紹介のようなものなのだ。実際既刊を読んでいく上ではそう読み取っても問題ない。それはかまわない。事実そうであるだろうからだ。しかしここにも真実はある。真実とは何か?
おっかないお嬢さんがただ殴りあいしたり撃ち合いしたりギャグをかましたり。そうしたもの内面に迫ることだ。それは読み取って見ると良いだろう。
人はただ娯楽に拠って生きるにはあらず。
さて、もうひとつ。「やんごとなき姫君たちの秘め事」桐生操
こちらは怖い童話などの本でデビューしている人のシリーズ本。なんでもソルボンヌに留学した才女の方二人のペンネームだそうな。今まで怖い系の歴史、拷問だの何だのなどを書いていたが、この本では主に中世までの女性たちの性生活を詳細な資料から渉猟したものだ。
私が知ったのもそちらの方だったが、この本でのまあユーモアのなさにまず苦笑。およそ面白みの出ていない文章だと思う。面白く書こうと思えばいくらでも書けるものである分野だろうに、艶笑譚を読んだ事はないのかなあ、と言う感想。まあ私が卑俗に過ぎるのかも知れない、と言う事は考慮に値するかもしれないけれど。
しかしさすがに資料には良くあたっているようで、非常に詳しく調べている。エピソードからエピソードへと良くまとまって演繹されている部分はさすがだろう。
文章自体は読みやすい。あけすけに書かれているが女性の文章であるせいかそれが鼻に付く事もない。たいへんためになるかというと疑問だが、まあトリビア流行りでもあるからピロートークの雑学披露には良いかもしれない。